Mukai Systems

出来のいいプログラムは詩に似ている

私が独立したときに師から送ってもらった言葉を紹介したいと思う。

出来のいいプログラムは詩に似ている。それぞれの要素がしかるべき位置におさまっていて、他のプログラマが見たら本質的な優雅さを感じるものなのだ。

そのような優雅さは、一週間や一ヶ月、それどころか一年かけても身につくものではない。ほとんどのソフトウェア専門家は五年から十年修行してやっと一人前になる -- 中世の同業者組合(ギルド)の、徒弟、職人、親方という身分制度にそっくりだ。

修行の大半は、おびただしい論理の穴ぼこや、無限ループに落ちては、プログラムの落とし穴について学ぶことに費やされる。ソフトウェアは本質的に難解というわけではないが、あっという間に複雑になってしまうので、はじめるまえから問題を予測しておかなければならない。それができるかどうかが、老練なプログラマと初心者の違いなのだ。

専門家は長く考えてプログラムを短くするが、素人はその正反対をし、密林を山刀で切り開きながら進む探検家のごとく、無理押しに目的地をめざしてしまう。

The Playful World: How Technology Is Transforming Our Imagination -- Mark Pesce

この言葉を送ってもらったとき、よい師を持ったものだとしみじみ思った。当時、密林を山刀で切り開いていたことが見透かされていたのである。