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嘘を見抜く技術――「いつもウソをつかれてしまうあなたへ」

Description

本書は、パメラ・メイヤーによって書かれた嘘に関する本だ。私が著者を知ることになったのは、暇つぶしにTEDを眺めていたからである。

皆さんを警戒させるつもりはないですが 気がついたのでお知らせしますと あなたの右隣の人は嘘つきです (笑) 左隣の人も嘘つきです そして 席に座っている皆さん自身が嘘つきです 私たちはみな嘘つきなのです 今日は 私たちが なぜ嘘つきなのかについての研究結果をお見せし どうすれば嘘を検知できるようになるのか また 私たちはなぜ 嘘を見抜き 真実をみつけ 最終的に信頼関係を築くために努力しようとするのかについて お話したいと思います

信頼といえば 「しょっちゅうウソをつかれてしまうあなたへ 」の出版後 誰も私に直接会ってくれなくなりました 「いえ いえ いいです メールします」と言われるんです (笑) スターバックスでお茶をする相手もいなくなりました

TED talk: Pamela Meyer: How to spot a liar

この特徴的なしゃべりだしから始まるトークに私は引き込まれてしまい、トーク内で言及されているこの本が気になって中古で買ってみたってわけ。

TEDトークの内容と少し被るが、にわかには信じがたいことが目白押しだ。

履歴書の三分の一が嘘の情報を含んでいる。

P25

会社員の五人に一人が会社の不正に気づいている。

P25

複数の研究者が別々におこなった調査によると、ほとんどの人が一日にほぼ二百もの嘘にさらされているそうだ。つまり、夜に八時間睡眠を取れる幸福な人の場合、一時間に約十二の嘘にさらされているというわけだ。

P26

嘘の五十パーセント以上は純粋に”自分本位”の嘘である。

P57

嘘の二十五パーセントは他の誰かを守る目的でつく”他人本位”の嘘である。

P57

びっくりな情報ではあるけど、これらの真偽は疑わしい。不自然にキリがいい数値だし、どんな実験を行ったの? 探した限りでは文献も記載されてない。

いや、待てよ。自己言及的に、

「世の中嘘まみれである。もちろんこの本も例外じゃないんだよね。」

ってことなの!? そうだとしたら、最高に清々しい嘘じゃないか!

本書の前半は、前述したような嘘に関する余談である。

本書の後半は、表情や身振り手振りや会話の内容などから嘘の見破る技術について解説が行われる。

Conclusion

嘘を見抜くということは、習得可能な技術ではありそうだ。しかしながら、熟練のシェフが手持ちの食材から即席で料理を作る技術を、素人が料理本を1冊読むことによって習得できないのと同じように、本書を読んだところで私たちの嘘を見抜く技術は対して進歩しないだろう。どんな技術にも言えるように、習得するには訓練が必要だ。そして、嘘を見破る技術はその特性上、訓練を行うのは難しい。なぜなら、嘘かどうか推論した結果の成否を確認できる場合は少ないからだ。

実用的かはさておき、読み物としてはそこそこ面白かったので、話半分で流し読みするような用途なら読んでみてもいいかもしれない。

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